今月のヒント retentio

今月のヒント retentio

回収率アップ-分析精度アップ

ピペットを振る、サンプルを慎重にピペッティングして排出する、ピペットチップを毎回差し替えるなど、これらすべてはチップ内壁にピペッティングの液残りが発生するからです!

一貫性の無い結果が発生することによるフラストレーション、週の初めに出た良い結果が週末には再現できないという無駄な苦労 – しかも、全てのテスト操作を同じ手順で行っているにも関わらず!

そんな経験はありませんか? ローリテンションピペットチップに関する情報をぜひご覧ください。

「ローリテンション」とはどういう意味ですか?

“Retention“という言葉はラテン語の “retentio“ – 引き留めるという言葉が語源です。「ローリテンションピペットチップ」とはつまり、チップ内の残留液を抑えることが特徴のピペットチップを言い表しています。

どのような効果がありますか?

他のピペットチップ同様、ローリテンションバージョンもハイテクで高精度を誇る射出成型金型で製造され、ローリテンションという特性を得るには特殊加工が加えられます。この加工により、チップは強い疎水性の荷電特性を持ち、滑らかな表面が得られます。この疎水性になった面は液体を弾く効果があり、蓮の葉効果とも呼ばれます。

この効果がピペッティングにどのように作用するのですか?

チップ表面が疎水性なので液体を弾きます。これは液体とプラスチックの間に弱い結合が形成されることによって、液体は引っ張られずに移動することができ、より小さな分子に分解されないようになります。また特定の液体をピペッティングする際、標準チップでは薄い残留膜が発生する可能性があります。ローリテンションチップを使用した場合にはこの現象は発生せず、サンプルを完全に排出できます。チップ内の低レベルの吸着性と相互作用により、チップ内に残った貴重なサンプルや試薬が廃棄されるロスはほとんど生じません。

ローリテンションピペットチップはどんな用途に使えますか?

標準チップでは正確なピペッティングが困難な試薬用によく使用されます。例えば洗剤やプロテインバッファなどといった表面張力が弱い試薬は問題になりやすく、グリセリン、高濃度のタンパクやDNA溶液など粘度の高い液体もチップの表面に付着しがちです。マイクロリットルレベルのわずかな損失でも、高額な損失を計上する貴重な試薬の場合、ローリテンションチップを使えばロスを減らすことができます。

 ピペッティング時の液残りによるロスが、結果に対して再現性を保てない程大きく影響をする場合、優れた低吸着性を発揮することは特に重要です。例えばPCRやリアルタイムPCR、タンパク質分析、SDS-PAGE、一般的な核酸分析のほかにも血液や血液成分の検査も含まれます。

ザルスタットの全てのピペットチップはISO 8655-2に準拠した最も一般的なタイプのピペットと、0.1μl以上の容量の異なる9種類のチップとの適合性をチェックし、精度とピペットの信頼性を最大限確保します。

最後に

ローリテンションピペットチップは、特に取扱いの難しい溶媒や極少量の使用の際、ピペッティング精度と高めるだけでなく、サンプル損失の減少がコストの削減と時間も節約にもつながり、正確かつ再現性のある結果を得ることを可能にします。