安全な凍結 ― 確実な保存
サンプル処理を順調に終え、一定量を-80℃で保存したいケース。
例えば、実験に思った以上に時間がかかったため金曜の夜8時にいったん実験を中断する場合、週末にサンプルを-20℃で保存する必要がある場合どうするか考えてみましょう。
サンプルを入れた1ℓのボトルを使うのはどうでしょうか?安価ですが使い勝手はどうでしょうか?または小さなチューブにサンプルを入れて冷凍庫で保存するのはどうでしょうか?
また、数日後に保存をしたチューブにヒビが入ったり、チューブが完全に破損してサンプルが漏れていたことが発覚したらどうしますか?大事なサンプルは無くなり、サンプルはコンタミし、その上冷凍庫も汚れてしまいます。何日もかけて実験してきたものがすべて無駄になってしまいます。ここでチューブ凍結に関するいくつかの使えるヒントをお伝えしましょう。
チューブの中では何が起こるのか?
バッファーやサンプル調製の液体培地、培養菌や試薬を0℃以下で保存するには、いくつかのクリアーすべき条件があります。液体のものは凍結しているうちに体積が増えることが想定されます。この増加によりフタを締めたチューブ内壁より圧がかかり、最悪の場合ヒビ割れを起こす原因となります。
チューブには何が起こるのか?
ガラス製チューブと比較すると、ひっぱり強度と衝撃強度はプラスチック製チューブの際立った特性です。特にポリカーボネートとポリプロピレンは熱や力学的にも、非常に耐性があります。しかしながら0℃以下になりますとプラスチックの材質特性も下がって脆くなり、ひび割れや破損が発生しやすくなります。急速冷凍したチューブに機械製ストレスを避けるためには、湯煎したあとに遠心分離やボルテックスをかけてください。
安全に凍結するには?
下の方から上の方にかけて凍結するのが安全な凍結方法です。チューブをラックもしくはボックスに上向きで保存するのがお勧めです。保管容器の内部で冷たい空気が循環するようスペースに余裕を持たせてください。そうすると凍結させるとチューブサイズは公称値を超えて大きくなることが予想されますが、たとえ凍った状態であってもチューブを取り出すことができます。スクリューキャップはチューブの密閉を提供します。
避けるべきことは?
スチロフォームコンテナはサンプルの保護には優れているものの、断熱性が高いことから、必ずしも急速凍結サンプル用にマッチした製品ではありません。もし下部がスチロールで覆われたままの状態だった場合、冷たい空気がチューブの上部にのみ届き、上部のみ凍結してしまうことが予想されます。このような不均一な圧力がチューブ下部のヒビ割れの原因となることがあります。
またチューブに目いっぱい注入してしまうと、内壁に同様の圧がかかります。チューブ内に少しスペースを空けておくことで、液体が凍ることによるチューブの膨張を防ぐことができます。
液体窒素の液相で保存されたチューブは、解凍している時に窒素の膨張により爆発する可能性があります。コンタミのリスクを回避するポイントからも、液体窒素液相での保管は避けてください。液体窒素の気相で保存する場合にはCryoPureチューブをご利用ください。キャップは凍結、解凍の際の圧力にも適応可能に設計されており保存時の安全性を高めます。
化合物の場合 ― 必要な情報は?
液体は急速に凍結する際、急激または想定以上に膨張することがあります。段階を置きゆっくりしたステップでの凍結が必要となります。例えば-20℃で24時間、その後には-80℃で保存する。もしくは特別に断熱性の優れたコンテナを使用し、ゆっくり凍結させてサンプルとチューブそのものを保護してください。
まとめ
サンプルの種類、溶液、使用するチューブ、凍結方法やフリーザーの種類などによりチューブにかかる圧力や、それによって及ぼされる影響は幅広く想定されます。特殊なサンプルを扱う際には必ず事前にテストして下さい。ただし事前にこのような取扱いのヒントがあることでチューブに発生しうる、ある程度の破損や漏れを避けることができます。
上記のヒントはこちらからダウンロードできます。もう少し詳しいCryoPureチューブに関するヒントはユーザーガイドCryoPureの安全な使い方に記載しています。