毎月の参考情報: サンプルバイアルの遠心分離

サンプルバイアルの遠心分離

「10分でどのように分離できるのですか」

大部分のラボ分析では血液中の液体部分である血清か血漿が必要です。血液から血清か血漿を取得するには固形の血液細胞を液体から分離する必要があります。この分離を遠心機で行います。しかし遠心分離はいかに機能していますか? どの遠心機も同様に遠心分離するのですか? 自分が誤る余地があるのでしょうか?

この質問には以下でお答えします:

遠心分離はいったいいかに機能していますか?

遠心分離は物質の密度比が異なることを利用した物理的分離プロセスです。こうして血液中の固形物である血液細胞は液状成分である血清や血漿から異なる密度のために分離されます。つまり遠心分離中に遠心力が作用して思い血液細胞はサンプルバイアルの底の方に濃縮され、軽い液状の成分は上層に集まります。

サンプルバイアルで遠心分離するのはいったいなぜですか?

大部分のラボ分析では血清か血漿を必要とします。
このとき電気泳動等必ずしもすべての分析を血漿に基づいて同定することは無理な点にご注意ください。どのサンプルバイアルをどの目的のために使用するかについての情報はラボのサービス目録を参照するか個々の分析でのパッケージ添付説明書を参照する必要があります。

サンプルバイアル別に遠心分離の推奨時間や総体遠心加速度 (RCA)が大きく違うのはなぜですか?

遠心分離時間とRCBはSモノベットでの個別調製と同定する分析項目によって異なります。
最適な遠心分離条件はSモノベットの内部包
装かウェブサイトに記載されています。

スイングローター式遠心機を使用するのはなぜですか?

遠心機にはアングルローター式とスイングローター式があります。原則的にサンプルバイアルはどちらのローターでも処理は可能です。違いが出るのはゲル層を特徴とするゲルバイアルの場合です。

アングルローター式の場合サンプルバイアルを斜めに装填するのでゲル層もこれに応じて斜めになります。斜めゲル層だからといって測定結果に影響しませんが、サンプル輸送時にはゲル層の安定性を保証することができなくなります。いちばん下の末端でまさにバリアが極めて薄く、条件によっては血液細胞が透過するおそれがあります。これがラボ分析の結果を誤らせかねません。

遠心分離で何か謝りそうなことがあるのでしょうか?

あります。まず例えば遠心分離が早めに終わると、固形成分と液体成分の分離プロセスが停止します。このためにテスト品質が変動し、分析業務に影響してきます。しばしばサンプルを再度遠心分離せざるを得なくなり、追加の作業手順が生じるほか、分析結果を出せるまでの時間が長くなります。

重要:

ゲルモノベットは2回遠心処理することはできません。これを行うとゲル層が破損して固形成分が液状成分に侵入する場合があるからです。このためカリウム値が高くなりすぎる等の無効な分析結果につながります。

分離時間とRCBの設定が誤っているとテスト品質さらに分析結果に悪影響が生じます。このためRCBが僅かで短時間だと固形成分が液体成分から最適に分離されなくなります。

終わりに:

遠心分離プロセスは血清や血漿を取得するための重要な要素です。遠心機と遠心分離条件は作業時間を節約でき、最適なテスト品質になるように選定しなければなりません。

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